値段が驚きで、入場料とプラネタリウムで合わせて450円だ。
しかも毎週土曜日は中学生以下は無料らしい。休館日は月曜日。
アクセスを調べると、最寄駅がいくつかあった。
京成本線のお花茶屋駅から徒歩8分と、
JR亀有駅から徒歩25分。
徒歩25分?
それは最寄駅と呼んでいいのだろうか。
宇宙から見た最寄駅なのだろうか。
「宇宙の中のかつしか」はもう既に始まっているのだろうか。
面白そうなので徒歩25分の亀有ルートで行くことにした。
亀有と言えば、『 こちら葛飾区亀有公園前派出(以下省略) 』だ。
駅前には両津勘吉像が立っているというので、それもついでに見に行ってみよう。
観光スタート
あぁここは亀有♪あぁきっと亀有♪
アニメこち亀リアルタイム視聴世代なので「亀有」の文字を見た瞬間
脳内にアニメOPが流れだした。
それにしても亀有ってもっと東京の下町感が漂っているのかと思ったけど、めちゃめちゃ都会だなぁ。
お腹も減ったので、せっかくだしご飯でも食べよう。
ご飯だけでも下町感を味わいたいところである。
そうだ、駅の高架下なんかは、古くからやってる定食屋や昼から酒を飲む常連客のいる居酒屋があったりするものだ。
ちょっと高架下を覗いてみよう…。
ふむふむ…コメダ珈琲、丸亀製麺、松屋、モスバーガー、やよい軒…
チェーン店通り!
なぁここは亀有? ねぇほんと亀有?
アニメのOPが改変されて脳内に流れてくる。
「借金返せー!」と両さんを追いかけていたお店の人たちってチェーン店の人? フランチャイズの店長たち?
あまり知りたくなかった現実に目を背けた先では、両さんの銅像が手招きをしていた。
両さん…あなたがいなかったら亀有に来たことを後悔するところでした…
それにしても茶色いなぁ…
一方こっちのお祭り両さんは金ピカだなぁ…
どちらもチェーンで囲われている。
両さんが暴れて逃げださないよう封じこめているのだろう。
歩いて1分くらいのところには、亀有公園もあった。
でもあれだな。
こち亀って意外と亀有公園のシーン出てこないよな。
そのせいか、公園そのものを見ても「これがあの亀有公園かー!」とはならず、
「亀有公園」の文字の配列そのものに「これがあの『亀有公園』かー!」となった。
公園の中ではなんとベンチで両さんの銅像が腰掛けていた。
両さんは公園で遊ぶ子供たちの荷物番をしていた。
「荷物ならワシが見ててやるから泥だらけになるまで遊んでこい!」
と笑って、どかっと座る両さんの姿が想像できた。
この後は、荷物そっちのけで競馬中継に夢中になってしまって泥棒に全部荷物盗まれるのだろう。
他の公園を歩いていると、遠くのベンチにまた両さんの茶色い銅像が座っているのが見えた。
さぁ今度はどんな両さんなんだろう。と近づいてみると
両さんではなくおっさんだった。
上裸だったせいで遠目から見て本当に
両さんの茶色い銅像だと勘違いしてしまった。
だってほら…色もポーズも似過ぎている…
もはや両さんがチェーンから抜け出した本当の姿なんじゃないだろうか?
そうだきっと。うん。
まさか本物に会えるとは思っていなかったなぁ。
両さん以外にも亀有のいいところを探しながら地面を見て歩いた。
これは僕の癖なのだが、
知らない街を歩いている時、無意識に地面のタバコの吸い殻を探してしまう。
それは路上喫煙批判の正義感とかではなく、むしろ逆だ。
路上喫煙の形跡が残っている街が好きなのだ。
吸い殻がたくさん落ちている街は、治安は良くないかもしれないが、多少のことは許してもらえるんだな、と思って気持ちがリラックスできる。
逆に地面に吸い殻が一本もない
綺麗な街を歩くと、常に監視されているようで、窮屈な気持ちになる。
亀有は…
とてもリラックスできる街だった。
これだけ吸い殻が点在していたら、線で繋いでたくさんの星座が作れそうだ。
「宇宙の中のかつしか」とは、この光景のことなのかも知れない。
ちなみに、こんなに吸い殻があるのに駐輪禁止の張り紙しかしていないことにも好感が持てた。
亀有…いい街じゃん。
亀有〜博物館
そこから博物館までの道のりは大通りの一本道だった。
真ん中には細長い公園が通っている。
公園が多いなぁと思って調べてみたら葛飾区は318箇所も公園があり、東京23区で8番目に公園が多いらしい。
子育てにもいいかもしれない。
この公園のベンチはあまりに急角度で、座ったらギリ滑り台だった。
ずっと歩いていると空腹の限界が来てファミマでおにぎりを一個買ったのだが、
そこで起きたプチ事件については長くなるのでこちらのノートで↓
歩道には
ジュースの自販機みたいなノリで昆虫の自販機があって驚いた。
真ん中は、シークレットの「お楽しみ缶」になっている。
「1000円以上の昆虫が入っていてお得です!」と書いていたのだが、
普通の人は昆虫食の相場が分からないと思うので、
何が出てきてもそんな得した気持ちにならなさそうだ。
いろいろ発見がありながら、ようやく葛飾区郷土と天文の博物館に到着した。
博物館到着
時刻は15時。
プラネタリウム開園まであと1時間。
GWなのでもしかしたらもう席が埋まっているかもしれないと心配しながら急ぎ足で中へ入ると、
女性のスタッフさんが対応してくれた。
「チケット券売機で入場券をお買い求めください。プラネタリウムはご覧になりますか?」
「あっ見たいです」
「あーえっとそうなりますとー…」
スタッフさんが少し申し訳なさそうな表情になった。
まずい。もう席が売り切れてしまったか!?
「プラネタリウムは16時からになるんで、あと1時間ありますが大丈夫ですか?」
「えっ?あっ…はい」
言葉の意味がわからなかった。
1時間前に来たのが早すぎたかのようなリアクションだ。
GW真っ只中でまさかそんなわけはないだろう
と思いながら券売機でプラネタリウムのチケット購入を押すと
プラネタリウム 残り140席
めちゃめちゃ空いてる!!
そういえば館内を見渡してもほとんど人がいないではないか。
スタッフさんの言葉が
「始まるまでまだ1時間もあるけど時間潰せる?いける?一回出て喫茶店とかで時間潰してからとかでもいいよ。」
というニュアンスだったことがわかった。
これ、平日のプラネタリウム貸切の可能性あるで…
チケットを購入し、1時間を潰すことに。
館内は5階建てになっていて、プラネタリウム以外にも2・3階で常設展や企画展をやっていた。
プラネタリウム目的で来たが、これもかなり満足だった。
床の縦のラインに 古代→中世→近世→近代→現代 と書かれており、横のラインにそれぞれの時代の展示物が並んでいるので、時代の移り変わりを感じながら歩くことができる。
「古代」の前に「かつしかルーム」があることから、
人類の歴史は「かつしかルーム」から始まったことが分かる。
中でも僕がめちゃめちゃテンション上がったのが、昭和時代を再現したエリアである。
部屋から見える昭和時代の道具やその置き方が、
展示というより、今なお人が住んでいる家を覗いているかのように自然だった。
また、そのエリア一帯の地面は、当時の昭和の地面を再現しているらしい。
ひっそりとなんの説明もなく当時の自転車が置いていたり
回り込まないと見えないところに当時のビールケースが積んであったり、、
とにかく細かいところまでこだわりを感じて感動した。
3階は天文系の展示
天体について学べるのだが、
丸いスクリーンに望遠鏡で見た太陽がリアルタイムで映し出されていた。
この太陽が、同時にここに写っているということだ。
動画で見るのと同じような映像なのに、ライブ映像というだけで
とてもドキドキできるのはなぜなんだろう。。
気づけばスタッフさんが心配しなくて良いほど、あっという間に1時間が経っていた。
あとは本命であったプラネタリウム、「宇宙の中のかつしか」の真相を確かめるだけだ。
開演2分前に入ったのだが、入ってみると席は意外にも6割ほど埋まっていた。
後ろの方が満席だったので、もっと早く並べばよかったなと思ったが、
よく考えたらプラネタリウムはどの席もスクリーンを見上げることになるので席関係ないんじゃいかと気づいて前の方に座ることにした。
ほどなくして照明がゆっくりと暗くなっていった。
期待感が高まってきた。
フラットシートを寝かせるおじさん。
親に小さな声で話しかける子供。
なんかオシッコしたい気がしてきた僕。
そんな観客たちを優しい女性の声が包み込んだ。
「みなさま、本日は当館のプラネタリウムにお越しくださり誠にありがとうございます。」
「まず初めに画面の端をご覧ください。」
おおっ…早速スクリーンに一番星でも輝いているのだろうか…?
「こちらが、非常口になります!」
スクリーンの端で、あの走る緑の人が大きく映し出されており、矢印で非常口の場所を示していた。
オリオン座ってこんな形だったかな、と思わせるくらいプラネタリウムのスクリーンで堂々ポーズをきめている。
皆が星を見るテンションのまま非常口を眺めていた。
そのまま少し注意事項など説明し、
それが終わると画面に大きな地球が映し出された。
「それでは、我々の住んでいる地球が宇宙のどのあたりにあるのか見ていきましょう。」
地球からどんどん遠ざかっていき、視界の後ろからたくさんの星座がやってきては遠ざかっていく。
木星も土星も現れては遠ざかり、とうとう無数の星が集まる銀河の中に放り込まれた。
息が苦しくなるほどの臨場感だ。
こんなところまで来てしまったらもう生きてるうちに地球になんて帰ってこれない。
通路を挟んだ席で子供が泣き出した。
楽しみにしていたGWにまさか宇宙の彼方まで連れて行かれるとは思ってもいなかったのだろう。
小さな声で必死であやすお母さん。
お母さんもきっと帰れるか不安でいっぱいなはずなのに、親とはたくましいものだ。
優しい女性の声が皆の不安を和らげた。
「それでは、この銀河から葛飾区に手紙を送ろうと思ったら住所はなんと書けば良いでしょう。
おとめ座銀河団 局部銀河群 天の川銀河 オリオン腕 太陽系 第3惑星 地球銀河系第3惑星 地球 日本 東京都 葛飾区…」
今座っているお客さんの中に日本郵便の配達員がいたら足が震えているだろう。
宇宙の彼方で葛飾区宛の手紙なんて受け取ったらそれはもう赤紙だ。
「では、宇宙の旅を終えて葛飾区へ戻りましょう。」
今度はどんどんと銀河の星々を抜けていき、土星も木星も大きくなって視線の外へ超えていく。
夢にまで見た我らの地球が近づいてきて、日本へまっすぐ向かっていき、そしてついに
大画面いっぱいに葛飾区が広がった。
声にならない声で少し笑ってしまった。
Googleマップの航空写真のように、葛飾区一体がプラネタリウムのスクリーンぎちぎちに広がっている。
きっとこの景色を飛行機の窓から見たら壮大で感動的なのだが、
さっきまで宇宙の果てにいた僕には急にスケールが小さく感じてしまう。
というか今
葛飾区を見上げている僕は何の目線なのかよく分からなくなってきた。
そして葛飾区の解説が始まった。
「葛飾区はかつて、水の底にありました。そのため葛飾区は今でも海抜が低い場所が多くなっています。」
「葛飾区は川が多く、何度も氾濫を繰り返すことで、少しずつ川の周りの土地が高くなっていき、人々はそこで生活を始めました。」
ちゃんと…勉強になる…!
まあまあ長い間、葛飾区の航空写真のまま解説が続き、
その状態に徐々に慣れ、
脳内がプラネタリウムを見てるモードから、
大画面でNHKを見ているモードに切り替わってきた。
「では、どうして川の周りは土地が高くなるのでしょうか?この映像を見ていきましょう。」
画面が切りかわり、絵本のようなタッチで、山から川が流れているイラストが映し出されたのだが、
その映像はYOUTUBEのような長方形の画角で、スクリーンの中央にだけ映し出されていた。
ついに大画面でもなくなった!!!
持て余す巨大スクリーン!!
5分の2くらいしか使っていない!!
しかし何も間違ってない。
このプラネタリウムはあくまで
「葛飾が低地にあること」を伝えたいのだから。
「葛飾が低地にあること」がしっかり伝わるなら
スクリーンを全部使う必要なんてないじゃない。
むしろ巨大スクリーンなんて邪魔じゃない。
期待通りどころか期待を超えてきたことに大満足しながら、長方形の画面の解説に聞き入った。
ひとしきり解説が終わった後は、画面がスクリーンいっぱいの地平線に変わり、上空に星がきらめく、通常のプラネタリウムになった。
解説の声が聞こえなくなり、僕は寝た。
普通のプラネタリウムでも、後半たいてい寝ている。
なので後半は全然関係ない大食いギャルの映像とかを流しても気づかないと思う。
「おはようございます。」
のアナウンスに気持ちよく目覚め、これにてプラネタリウムは幕を閉じた。
2023年の7月20日までやっているそうなので、ぜひフルスクリーンで葛飾を見上げる体験をしてみて欲しい。
帰路
帰りはお花茶屋駅から帰ってみることにした。
その途中で気になるお店を見つけた。
マグロの頭など、希少部位を取り扱うお店、「あたまや」さん
目玉やアゴカマなど、味が気になるまぐろの珍しい部位がならんでいる。
そこで100グラム500円という超安いマグロの切り落としを買って公園で食べることにした。
塩をかけていただくことに。
甘くて身もしまっていて最高に美味しかった。
気づけば夕方。
素敵なGWに大満足の1日でした。
次はどこに行こうかな。
本日の旅に使った費用